はじめに
ウイスキーは、その深い味わいと歴史から多くの人々に愛される蒸留酒です。しかし、ウイスキーの健康への影響については、様々な意見が存在し、一概に良いか悪いかと断言することはできません。今回は、アルコール摂取量に焦点を当て、ウイスキーの健康への影響について、最新の研究に基づいて解説していきます。
適量のアルコール摂取と健康増進
いくつかの研究では、適度なアルコール摂取が、特定の疾患のリスクを低下させる可能性が示唆されています。
- 心血管疾患の予防
適量のアルコール摂取は、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を増やし、血栓ができにくくする効果があると言われています。これにより、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクを低下させる可能性が考えられています。
しかし心筋症診療ガイドラインには
“アルコールの摂取量が純エタノール換算量で90g/日(ビール500mlで4.5本)より多く、5年以上のアルコール依存症患者は、無症候性アルコール性心筋症進行のリスクがあり、無症候性のアルコール性心筋症診断後もさらに飲酒を継続すると、心不全徴候や心不全症状が出現する。アルコール多飲者には断酒をすることが勧められる”
とのことであるためお酒を長く楽しみたければ節酒すべきである。 - 2型糖尿病のリスク低下
アルコールはインスリン感受性を高める働きがあるため、2型糖尿病のリスクを低下させる可能性も指摘されています。
このことから、食べ物を食べるときにお酒も飲むと血糖値が抑えられてしまい過度に食事してしまうことにもつながっていることがわかる。 - 認知機能の改善
一部の研究では、適量のアルコール摂取が認知機能の低下を遅らせる可能性が示唆されています。
血管拡張から血流がよくなり脳に血流が回るため機能は改善されるかもしれないがアルコールの作用によっていわゆる酔った状態になるため即時効果はなく量が多いとアルコール性脳症やアルコール性認知症になる可能性もあるため過量に飲まないことが必要になる。
アルコール過剰摂取による健康への悪影響
過剰なアルコール摂取は、ほかにも様々な健康問題を引き起こすことが知られています。
- 肝臓への負担
アルコールは肝臓で分解されるため、過剰な摂取は肝臓に大きな負担をかけ、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変といった肝疾患を引き起こす可能性があります。 - 脳への影響
上にも記載した通りアルコールは脳神経細胞を損傷させ、記憶力や判断力の低下、うつ病、依存症などの精神的な問題を引き起こす可能性があります。 - がんのリスク増加
世界がん研究基金国際機関(IARC)は、アルコールを「発がん性がある」と分類しており、特に口腔がん、咽頭がん、食道がん、肝がん、大腸がんのリスクを高めることが知られています。
今のところは嗜好品として飲んでいる現在の一般的な量では悪影響が出ることが分かっているようである。
アルコール摂取量と健康の関係:Jカーブ説
アルコール摂取と健康の関係は、いわゆるJ字カーブで表される可能性が指摘されています。つまり、全く飲まない人と、飲む人と比較して、アルコールの量を1~19g飲む人が飲まない人や20g以上飲む人と比べると全体的には健康かもねという説です。
このアルコールの量は
- ビール2本(700ml)には、約20g程度
- ワイン1杯(200ml)には、約12~16g程度
- 日本酒1合(180ml)には、約15~20g程度
とこのぐらいです。度数によって変わってきます。
Jカーブ説は、少量のお酒を飲むことで心血管疾患のリスクが低くなるという研究結果に基づいています。 しかし、最近の研究では、Jカーブは存在せず、少量のお酒でも心血管疾患のリスクを高める可能性があることが示されています。 アルコール分解能に関連する遺伝子を調べた結果、少量のお酒でも心血管疾患のリスクを高める可能性があることがわかりました。
つまり酔っぱらいやすい人にはもっと少ないほうがいいかもしれないし、酒豪はもっと飲んでも大丈夫ということです。
まとめ
ウイスキーを含むアルコールの健康への影響は、摂取量によって大きく変わります。適量のアルコール摂取は、特定の疾患のリスクを低下させる可能性がありますが、過剰な摂取は様々な健康問題を引き起こす可能性があることを忘れてはいけません。
重要なのは、自分に合った適量を知り、節度ある飲酒を心掛けることです。
まだわからないことだらけ
ウイスキーと健康の関係については、まだ解明されていない部分も多く、今後の研究が期待されます。特に、遺伝的な要因や、飲酒の習慣が健康に与える影響など、より詳細なメカニズムの解明が求められています。つまりわかっていない部分が多いから飲んだほうが健康的ともいえないし飲まないほうがリスクが減るとも言えない。しかしお酒は依存性があるため適度な量で毎回抑えることはかなりの自己コントロール能力が必要であるためこれを鍛えていくようにしたほうがいいと個人的には思います。
参考論文
* Rehm J, Room R, Monteiro MG, Gmel G, Joo HJ, Graham K, et al. The relationship of alcohol use to the burden of disease and injury in 189 countries. Lancet. 2009;373(9682):2223-33.
* Di Castelnuovo A, Costanzo S, Donati MB, Iacoviello L, Casini A, Pacini G, et al. Moderate alcohol drinking and mortality from all causes, cardiovascular disease, and cancer: meta-analysis of prospective studies. BMJ. 2006;332(7548):1254-9.
注意
この記事は、一般的な情報提供を目的としており、医学的なアドバイスではありません。飲酒に関するご心配がある場合は、医師にご相談ください。
コメント